『善は急げ!麺も急げ!』
実家が洋品店で両親が共働きで忙しかったので、ガキの頃は時々昼ゴハンが出前だった。蕎麦を注文しノソノソと食べているオレに、自称・江戸っ子の親父は、「垢抜けねぇなぁ、おまえは!箸ですくって1/3位だけを汁に付けて勢い良くチャッチャとすすって食べるのが、粋な江戸っ子流の蕎麦の食べ方なんだよ!いいか、よく見とけ!」と実際に食べてみせたりして、しょっちゅうスパルタ指導(笑)。うどんを注文した時も、まだガキで熱い物を早く食べれないなのでノソノソと食べていると、オフクロも「ほら、ドンドン食べな!うどんは伸びちゃったら美味しくないよ!」と、同じく厳しくレクチャー(笑)。
時は流れ、バンドでデビューした後。必ず1日1食は食べるほどの(多い時は2~3食)ラーメン好きのマネージャーがいた。彼ほどではないがオレも好きなほうなので、時々一緒に食べた。マネージャー氏、毎回あっという間に食べ終わる。ラーメンを食べるのがメチャメチャ早いのだ。なんで?と訊くと、「ラーメンを作った人に対するリスペクトです!」と。「麺を茹でたのと同じ時間で食べる…」うんぬんと流儀を語った。
「?」と疑問に思いながらも一緒に行った時は、つられてオレも急いで食べた。
昔付き合ってた料理の得意な女子は、パスタの“アルデンテ”に物凄くこだわっていた。特にスパゲッティはキッチリとタイマーで茹で時間を計りつつ試食して茹で具合をチェックしたりして、ちょい硬めで火を止めソッコーで具材と合えて皿に盛りつけてくれた。パスタの前にビールやサラダでも味わっていようものなら、「はいはい、ストップ!美味しいうちに先にパスタ食べて!」と注意されてしまう。おかげで美味しくアルデンテなパスタを堪能できたが、いつも慌てて食べていた。
蕎麦、うどん、ラーメン、パスタ…どんな麺類も素早く食べるのがクセになった。
どんな料理も作り立てのホヤホヤが美味しいけど、麺モノの出来立ては確かにより一層格別だ。さてと、今日はどんな麺類で口の中をヤケドしようかな…